'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ダービーは悔しい4着 安田記念はトーラスジェミニと初コンビ
2021/6/4(金)
先週の日本ダービーはテン乗りで挑んで4着、目標としていた初勝利は叶わなかったが、今週からは2歳新馬戦もスタート。また来年へ向けて、新たな一年が始まる。古馬を中心とした争いでは安田記念ではトーラスジェミニとの初タッグ。一矢報いることができるだろうか。
課題、反省は見えたものの力を証明したグレートマジシャン
——まずは先週の日本ダービー(G1)から振り返っていただきたいと思います。グレートマジシャンとのコンビで挑まれましたが、4着という結果でしたね。
一番は道中のリズムが悪く、馬と喧嘩してしまったことが大きかったですね。ただ、それだけのロスがありながらも追い詰めたように力は証明してくれたと思います。
——先週、伺った段階でもゲートの不安や精神面の課題を口にされていました。実際、乗られてどうでしたか。
やっぱり課題が出てしまいましたね。馬場に出るとテンションは上がっていました。返し馬自体はスムーズだったのですが、待機場はある程度我慢できたものの、ゲート裏にいってからはかなりテンションが上がっていて、何とかゲートを出てくればと思っていました。ゲート自体は大丈夫だったのですが……。
——例えると2年前のサートゥルナーリアのような状態でしたか。
あ~そうですね。スタートしてからももう少しペースは流れると思っていましたし、1コーナーの隊列もなかなか決まらなかったです。内から出てくる馬もいて、外に弾かれたり、折り合いを欠いたりと定まらなかったことも堪えましたね。
——やっぱりテン乗りの分もありましたか。
ゲートの出方、二の脚の付き方、ここらは一度乗っているか、乗っていないかの差はあったと思います。レースで乗っていれば、ポジションの取り方も感じ取れる部分あったと思うので。位置に拘るよりもリズムを重視したいと思っていた通り、レース後半は思うようには乗れたのですが。
——勝ち馬も同じことですが、もう少し経験を積んで、馬もレースが上手くなっていけばいいですね。
ただ、そこをどうにかするのは騎手でもあるので。何とかしたかったところです。
——現状、馬の理想とする条件はどう見られましたか。
2000mくらいでしょうか。東京のように広いコースの方が向いていそうですね。
安田記念は逃げ候補 トーラスジェミニと初コンビ
——今週の騎乗馬の話題についてもお願いします。土曜2Rのノーティーガールは2走前が惜しい結果でした。
自分の形で運べばしぶといタイプですからね。リズム良くいければと思います。
——8年連続連対中のアハルテケステークス、今年はフォーテとのコンビですね。
競馬を覚えさせたいという思いもありますが、自分の形にこだわった方が結果は出そうですね。そこは先生と話して、どういう形になるか、ですね。
——日曜3Rのマイブリュージュ、4Rのジジと惜敗が続いています。
マイブリュージュは乗せていただいた時もしぶとい内容でしたし、その後も安定していますね。ジジはどんなコースで走っても崩れないのは強みですね。何とかもうひと押しできればと思います。
——6Rのサトノストロングは追い切りに乗られたそうですね。ジョッキーにとっては今年初めて2歳新馬戦に乗られることになります。
雰囲気のある馬ですし、能力を感じました。仕上がりも良いのでどこまでやれるか楽しみにしています。
——ホンコンJCTのエトワール、小金井特別のブッチーニとどうでしょうか
エトワールは器用なタイプでどんな形にも対応してくれますね。渋った馬場もフットワークから良いんじゃないでしょうか。ブッチーニは力の足りる馬だと思います。あとは東京の1600mでどれだけリズム良くいけるか、になると思います。
——安田記念(G1)はトーラスジェミニとの初コンビですね。
今年は良いメンバーが揃っていますし、その中で乗せてもらえることに感謝しています。どんな形になるかは先生と話してから、となりますが、力を出し切れるよう頑張りたいですね。
また来年のダービーへ向けて日々新たに
——その他のレース回顧も伺うと、さきたま杯のノボバカラはどうでしたか。
スタートを出てからはなんともなかったですが、ゲートに入ろうとせず、どうも気持ちが向いていなかったですね。2走前はそんなこともなかったのですが。
——だから係員の方が複数人数で誘導していたんですね。実戦復帰から1年ほどして、浦和競馬場。感じるところはありませんでしたか。
ええ、それはもう大丈夫です。以前にも浦和で乗せてもらっていますからね。
——ダイワクンナナは混戦メンバーで1番人気に支持されていましたね。
周りを気にするようなところがあるとは聞いていました。斜め前に馬を置く形で運びましたが、ブレーキとまでは言わないほどでも確かにそんな兆候はありました。ハミの取り方が良くなかったですね。そこから外に出すと、スムーズさが出てきましたが、最後はジリっぽかったですね。乗り味自体は良いのですが、精神面が課題になりそうです。
——アポロティアモは楽なペースではなかったものの、先行してしぶとい内容でしたが、またしても惜敗となってしまいましたね。
距離短縮自体は問題なかったと思いますが、この馬は距離を問わず似たような結果になってしまいそうですね。もう少し詰めの甘さを解消できるといいのですが。
——スリーグランドは実績通りならもう少し見せ場がありそうでしたが、いかがでしょうか。
やっぱりこのところコンスタントに走っている分、多少影響はあったかもしれませんね。この相手でもやれる馬だとは思っていましたが。
——ギャリエノワールはこのコースで外枠という不利があったものの、新馬戦の内容からは今の未勝利なら能力上位かなと感じていました。
追い切りの感触からは少し足りない内容でしたね。久々の影響はあったかもしれませんが、もう少し走れて良い馬だと思います。今後、条件を替えるのか、少し考えたいところです。
——先週で2021年のダービーが終わりましたが、また気持ちを切り替えて、といったところはありますか。
ありますね。今年はお客さんの数も決して多くなかったですし、また10万人以上の観衆の中でのダービーが戻ってきてほしいですが、その中でもダービーに乗れる喜びはありました。また来年こそは勝てるよう、一つ一つ乗っていければと思います。
——ありがとうございました。また次週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
※次回は6月11日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。