'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
アメリカ遠征を終えてエリザベス女王杯はライラックとコンビ継続!
2023/11/10(金)
ソングラインと共に臨んだBCマイルは残念ながら勝利という結果を残せなかったが、今週はライラックとエリザベス女王杯に騎乗する。かねてより縁のあるオーナーの所有馬でもあり、前走は低評価に反する好走。舞台は違うが、昨年の2着馬でもある。今年も激走を期待したい。
東京の走りを見せられなかったソングライン
——アメリカ遠征、お疲れ様でした!結果は5着と勝てなかったことは残念でしたが、人馬ともに初めてのコースでしたね。
明確な敗因は挙げられませんが、少しゲートがうるさかった割には遅れることなく、いいスタートを切れました。展開もああいう形にもなるのかなとは思ってはいましたが、いい位置は獲れていたんじゃないかと思います。ただ、4コーナーではいつもの手応えじゃなかったですね。
——と言いますと、最後は着差を詰めているものの、感触的には伸びたというより、前が止まった分、縮まったような形ですか。
そう思います。これだけ高い能力は持っていますが、1ターンの経験の浅さも影響したんじゃないかと思いますね。
——ジョッキー自身は小回りの競馬場にも経験があるでしょうが、小回りでもありましたね。
東京であれだけ強い走りをしていますし、それと比べると随分と違うコース形態ですからね……。
——枠や芝の質も影響しましたか。
5着から一つ二つ上の着順は変わっていたかもしれませんが、その点に関してはそこまで大差はないのかと思いますね。
——馬の気配自体はどうだったでしょうか。
イレ込むまでではありませんが、ソワソワしたところはあって、周りの馬を気にする面もありましたね。それもあって、ゲートの中でもうるさかったんだと思います。レースに影響したかとまではわかりませんが。それでも、負けてしまったことは申し訳なく思います。
——競馬場の雰囲気はどうだったでしょうか。
最高でしたね。施設も一つ一つを見れば、日本の方が整ってはいますけど、綺麗でしたし、スケール感がありました。環境として気持ちよかったです。また、機会があれば来たいと思う競馬場でした。サンタアニタパークは大井競馬場とも提携を結んでいることもあって、それが垣間見える部分もありました。
——競馬に至るまで日本とは違う流れはありましたか。
基本的には通訳の方もいましたし、多少なりともありますが、そこまでは感じなかったですね。ただ、身体検査などは細かいですね。目をつぶって片足立ちをしたり、一直線を真っすぐ歩けるか、5つの日本語を繰り返し発したり。馬具もアメリカに限らず、日本の物は使えない物があるとは知っていたので違和感はなかったです。
——今週の追い切りに騎乗されていましたが、すぐに帰国されましたか?
月曜まで滞在して、日本の火曜夜には着きました。予定していましたし、時差ボケなんかもなく特に問題なく過ごせています。
前走以上の感触で挑めるライラック
——今週はエリザベス女王杯(G1)でライラックに騎乗されますね。
前走も敗れはしましたが、成長を感じる内容で次に繋がると感じていました。今回の追い切りにも乗って、また一段上がったように感じます。
——前走はスロー。今回も先行馬が多いわけではないにしても、上がりがもう少し掛かった方がいいですか?
それよりも瞬発力勝負になりやすい東京より京都になるのが良いんじゃないかと思いますね。金曜に雨も降る予定のようですが、多少、雨が残ってもこなせるような感触はあります。
——舞台は替わりますが、昨年も好走したレース。スタートは課題になりますか。
テンで位置が取れない印象はあるものの、僕が乗せてもらった時はそれなりに出てくれていますからね。枠自体はよほど変わった馬場でなければ、極端な枠じゃなければいいのかと思います。
——以前も話題にした通り、昔からの縁のあるオーナーの所有馬ですね。
昔からお世話になっていますからね。中央では数多く馬を持たれている訳ではありませんから、G1で乗せていただくことも貴重な機会。何とか報いたいです。
——土曜のヴァナルガンドは昇級初戦ですね。
相手なりというタイプじゃないかと思います。前回は東京の方がいいようなことも言いましたが、その辺りも前に比べたら対応力も出ている印象を受けました。
——オキザリス賞のノヴァエクスプレスは追い切りに乗られたようですね。
芝で勝ってはいますが、力強さもあってダートに行っても良さそうですね。
——奥多摩Sのヴェルトハイムは安定しています。
前回は斤量がどうかと思いましたが、こなしてくれましたね。改めて地力を感じました。
——メタルスピードは久しぶりに騎乗されます。
ここのところの結果はわかりませんが、一時はクラシックでも好走していたくらいですからね。どう成長しているか、期待したいです。
——日曜のアドミラルシップはライラックの下ですね。
2週前に乗せていただいたのですが、当時は走りがまとまっていない印象でした。そこから追い切りを重ねてどこまで上向いているか、という印象ですね。
——ドンカスターCのトリプルループは前走がペースを踏まえると良い内容でしたね。
地方で勝ち上がってきたものの、昇級でメドを立ててくれました。あとは相手との出方や枠でしょうか。
——次週は東スポ杯のシャンパンマークやデシエルトなどに騎乗。まずは今週末を期待しております!ありがとうございました。
ありがとうございました!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。