外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
3日間開催は14頭に騎乗!個性派多いステイゴールド系の仲間たちと"最高の友達"を大紹介!
2023/10/6(金)
今週は水曜日に地元の園田競馬場で父の厩舎の管理馬で勝利を挙げた永島まなみ騎手。3日間開催の今週末は14鞍に騎乗。先週の振り返り、今週の展望に加え、今回は凱旋門賞終わりということで"個性的にステイゴールド系"についてまなみ騎手が語ります。そして今明かされるまなみ騎手の"最高の友達"とは…
水曜は地元園田でV!3日間開催の長丁場は14頭に騎乗!
——まずは水曜園田9R、ルクスメテオールの勝利おめでとうございます!早め先頭から完勝でしたね。
元々JRA在籍時、未勝利で乗せてもらっていた馬なんです。最後の未勝利は私のミスもありいい結果を出してあげられなかったので、馬に助けてもらった一戦でした。
——距離延長、初の一周コースにも上手く対応したように見えました。
コーナーでトモが流れるところがあり、今回園田でも少し流れるところはありましたが、以前乗せていただいていた時から状態もキープしていたので、自信を持って乗れました。
——先週の中央競馬は2着が2回ありました。土曜阪神4R・2歳新馬のポエットリーは直線よく伸びて見せ場十分でしたね。
瑠星さん(坂井瑠星騎手、アウェイキングで3番手から4着)の位置を取りたかったのですが、追い切りに乗っていてもまだ自分からという感じの子ではないんです。レースでもそういう部分が出て道中促し通しでしたが、それでも最後は調教通りいい脚を使ってくれました。次が凄く楽しみです。
——タイムも優秀で、一度使った次は楽しみな馬ですね。
そうですね、ダイワメジャー産駒の牝馬なのですが、調教の時からおっとりしている子なんです。気持ちの面がピリっとすればレースでもいい方向に出ると思います。
——好タイムといえば、日曜阪神6R・3歳上1勝クラスで2着のウインエーデルもそうでしたね。あと少しの2着でした。
追い切りに乗せていただきましたが、未勝利を勝った時より状態が良くなっていましたし、昇級戦でどれだけ対応できるかと思っていました。元々最後しんどくなると右にモタれるところがあり、修正しながらのレースではありましたが、脚は使えていますし、いい内容で走ってくれました。
——小回り小倉の1800mを使った後の外回りマイルでしたが、追走面に関してはいかがでしたでしょう。
小回りの1800mより、距離的にはマイルがベストに感じました。いい脚を長く使ってくれるので、外回りが良さそうです。
——土曜の阪神8R・3歳上2勝クラスで5着だったペイシャフラワーは、外枠も痛かったように見えました。
まだ前が止まらない馬場でしたし、昇級戦ながらよく対応してくれましたが、どうしても大外枠がしんどかったです。内に潜り込みたかったのですが、そこまで逃げる馬もおらず、あのような詰まった馬群になる予想はしていました。
——それでも最後詰めたあたり、能力の高さを再確認しました。
この子は毎レースしっかり頑張ってくれますし、昇級戦としてはいい内容で頑張ってくれたと思います。
——今週は土曜4頭、日曜5頭、月曜5頭の14頭に騎乗されます。月曜京都9R・りんどう賞で騎乗されるルクスノアは新潟2歳Sで4着でした。
重賞でもしっかり力を出してくれました。ただゲート試験前から乗せていただいている時から折り合いが課題で、放牧帰りの今回は調教でもハミを噛んで頭を上げるところがあるんです。改善点なので角馬場で背腰を上手く使えるよう意識して乗っています。
——行きたがりながら最後伸びた前走から力のある馬ですね。
最初、狭くなった時に頭を上げてハミを噛んでしまいましたね。それでも4着でしたし、力のある馬だなと思います。距離短縮はプラスに働くと思います。初めての右回りですが、苦にしなさそうな子です。
——月曜京都8R・3歳上1勝クラスのカゲマルは、2走前にまなみ騎手で未勝利を勝った馬です。今回は1200mに距離短縮となります。
福島の1150mで勝たせていただいていますし、前走の東京1400mのレースを見ましたが、最後の最後抜かされてしまっただけで着差もありませんでしたし、距離短縮はいいと思います。
——休み明けですが、今週の追い切りではまなみ騎手が騎乗していいタイムが出ました。
一段とパワフルになっていましたね。結構自分からハミを取る馬ですが、それこそガツンといきました(笑)。息遣いは悪くないですし、間隔空いているのはあまり気にならないかなと思います。
週中、トレセンで談笑する永島まなみ騎手と今村聖奈騎手
——エルプロフェッサーで挑む日曜京都1R・2歳未勝利は前走好走馬が多いですが、平坦変わりはプラスに出そうですね。
道中まだフワフワするところはありますが、前走は新馬戦より前進がありました。阪神の坂で少ししんどそうだったので、平坦はプラスだと思います。
——土曜の京都1R・サンピアノソナタ、日曜の京都2R・スウィープフィートの2頭は、どちらも新馬でまなみ騎手が騎乗し3着でした。上積みがありそうでしょうか。
サンピアノソナタは調教通り前向きなところを見せてくれましたね。最後ひと踏ん張りというところでしんどくなりましたが、上手く立ち回れましたし楽しみです。スウィープフィートは前走1200mで道中忙しかったので、距離延長はプラスです。馬格があってゴリっとしている馬で、力はあると思います。
ステイゴールド系の愉快な仲間たちと、まなみ騎手の"最高の友達"が登場!
——今日のテーマは凱旋門賞でスルーセブンシーズが4着に食い込んだことから、"ステイゴールド系の馬たち"についてお願いしようと思います。まずは凱旋門賞の感想からお伺いします。
ルメールさんのヘルメットカメラを見たんですが、印象通りヨーロッパの馬群は凄くタイトでしたね。ルメールさんはその中で映像を見ていてもソツがないというか、最後の直線までスムーズな競馬だなと。
日本馬の4着はスゴいなと思うと同時に、ヘルメットカメラを見て私ももっとしっかり乗らないとと思いました。
——ちなみに凱旋門賞は翌日調教で深夜2時起きのため、一度起きて観る予定と先週おっしゃっていましたが、起きれたのでしょうか?
起きたいと思っていましたが、眠たくて…。2時起きには勝てなかったです…。21時にはもう寝て目覚ましをかけていたんですが、目覚ましを止めた記憶がないです(笑)
——スルーセブンシーズの父はステイゴールド系ドリームジャーニーです。この系統はゴールドシップやオルフェーヴルなど、"破天荒な馬"が多いことで知られていますが、産駒に乗ってそう感じることはありますか?
自厩舎のプエルタデルソルがステイゴールド産駒で、基本はおとなしいんですが、何かあるとすぐ左に回転する馬でした。あとは競馬学校にいたステイゴールド産駒の牝馬エクスペリエンスが思い出深いです。競馬学校時代も跳ねまわっていて、苦戦した一頭だけに記憶に残っていますね。
ステイゴールド産駒と言えばゴールドシップやオルフェーヴルなので、依頼をいただいた時にまず血統を見るのですが、オルフェーヴル産駒などだと気性的に荒い面があるのかなあ、なんて勝手に想像したりはします(笑)。
——例えば先ほど話に出てきたルクスノアもオルフェーヴル産駒ですね。
"お嬢様系"と称されるオルフェーヴル産駒ルクスノア
ノアも初めて依頼をいただいた時は血統を見て、「オルフェーヴルの牝馬か…」と思いながら少しドキドキしていました(笑)。ただおとなしいオルフェーヴル牝馬は走ると聞いていましたし、ノアは品があってお嬢様系なんです。
——お嬢様系…と言いますと?
オルフェーヴル産駒だけに調教でテンションが上がって暴れるかと思ったらそういうことはなく、凛としています。時々馬房に撫でに行くのですが、普段はおっとりしてかわいらしくて、乗ると自分を持っていると言いますか、凛々しい感じの女の子です。
——先週話になったトゥラヴェくんことトゥラヴェスーラは、スルーセブンシーズと同じドリームジャーニー産駒ですが、気性はどうなのでしょうか。
競馬学校生の時から見ていますが、そんなに暴れたりした記憶がないですねえ。年齢を重ねて落ち着いたのかもしれませんが、トゥラヴェくんは走り出すとガーっと行きますが、普段はおとなしい子です。
——ゴールドシップ産駒では2年前にホワイトターフで新馬勝ちされた経験があります。どんな馬だったのでしょうか?
本当におとなしい馬でしたね。新谷厩舎の馬によく乗せていただいていましたが、みんなお行儀が良くて、その中でも2歳馬ながら他馬を誘導したり、先頭を歩いたりしたり、かわいらしい馬でした。
——ステイゴールド系に限らず、これまで触れ合ってきた馬で、「この馬かわいいな」と思ったことはある馬はいますか?
私、大好きな子がいるんです。自厩舎のジャマンという子で、本当にかわいいんです。今入厩中で馬房にいるんですけれど、ずっとジャマンと戯れています。
「ジャマ~ン」って言いながら馬房に行くと最初は機嫌良く顔を出してくれるんですが、ニンジンをあげて撫でまわしていると、途中で嫌気がさしてくるみたいで…。感情が無になったような表情をして、呆れたような目で見てくるんです(笑)
まなみ騎手と"最高の友達"ジャマン(まなみ騎手提供)
私がちょっかいを出しに遊びに行くと、「またお前か」みたいな目で見てくるんですよね。それでも本当に噛まない子で、抱き着いてもジーっとして怒らないですし、前髪をいじって三つ編みにしようとしてもたりじーっとしてるんです。その時はたぶん私に触れられることに嫌気がさしているというより、もう無になってます(笑)。私の最高の友達なんです!
——入厩中ということはそろそろレースでしょうか。
来週の新潟で初めてのダート戦を迎える予定ですね。乗せていただきます!
——新たに新潟競馬の楽しみが増えました。競馬に関して言うと、少し気性が激しいくらいのほうがいいのでしょうか?
そうですね、ちょっとおとなし過ぎると最後の競り合いで闘争心が足りなくなるというか、気性の勝ってる馬のほうが負けたくない気持ちがあって、最後粘り強くなる感じはあります。普段乗っている分にはおとなしい子のほうがいいですが(笑)。
——今回も長くありがとうございました。最後に新潟開催前、3日間開催の抱負をお願いいたします。
ルクスノアはずっと調教乗せていただいていますし、しっかりいい結果を出したいです。他の馬も何度も乗せていただいたことがある馬が多いですし、一戦一戦いい結果が出せるよう頑張りたいなと思います。
表情豊かで愛されキャラのジャマン(全てまなみ騎手提供)
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始1カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
当初のこのコラムのコンセプトは"ファンの皆様と共に歩む"ですので、これからはファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。応援メッセージもまなみ騎手に送らせていただきますので、皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。