初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『競馬の仕事』
2017/8/2(水)
仕事とはなんなのか、なんなのかというとこいつです。
クオカードです。
なんのクオカードかというと、これです。皆さんご存知ソウルスターリングのクオカード。オークスを勝った記念に作られたものです。僕がいったい何をしたかというと、ソウルスターリングの強さを称える文章の部分を書かせていただきました。何故そんな大役を僕に任せたのかといえば、クオカードの制作を担当している方が僕の友達だからです。
その友達というのが社台東京事務所のOさん。この方との出会いのきっかけが、くしくもクオカードだったのです。はるか昔、ジャス君が初めて重賞を勝ってくれたあのアーリントンカップの後、重賞を勝つと社台サラブレッドクラブでは記念のクオカードを作るのがお約束なのを知っておりました。他のクラブなどでもクオカードを作ったりしているのは知っていましたがダントツのデザイン性を誇っていたのはやはり社台グループのクオカードでした。なのでジャス君が重賞を勝った暁には自分もかっこよいクオカードを作ろうと心に決めておりました。
しかし、いざ勝ってみるとどうしてよいのかまったくわかりません。写真はどこから手に入れればいいのか?まさか勝手にWEBの写真を使うわけにもいきませんし、知り合いにカメラマンなんてものはいっさいおりません。デザインなんかも依頼するにはどうすりゃいいのかわからない。どうしたものかと考えた挙句、わからないならわかってるところに聞いてみればよいと社台東京事務所に電話をかけたのがきっかけなのです。
電話に出たスタッフの方が事情を説明するとわかる人間につなぐんで少々お待ちくださいと取り次いでもらった先がOさんでした。そんな流れで事情を説明し、クオカードを作る方法などを聞こうとしたところ「私が作りましょうか?」となんともお気軽なノリで言ってくれるではありませんか!渡りに船だとお願いしたのがOさんとのおつきあいの始まりです。
その後ジャス君がレースに勝つたびに記念クオカード、更にはジャンパーなどを作りましたがそれもOさんにお願いし、GⅠを勝利した時には僕自身で文章を書いた豪華版クオカードを作りました(社台グループの場合GⅠを勝つと豪華な台紙のクオカードを作る傾向があるようです)。そんな流れで一緒に作業をしていた経緯があったからかはわかりませんが、Oさんが担当だったフェノーメノが天皇賞を勝ったときに作ったクオカードの文章を書かせてもらったのです。
ジャスタウェイのクオカード付きブックレット
大和屋さんも製作に携わったフェノーメノのクオカード
からの、お久しぶりのお仕事です。今回ソウルスターリングのクオカードを作ることになりましたが書く時間ありますか?との依頼をいただき二つ返事でやらせてもらうことになりました。
ここからは御勉強の時間です。ソウルスターリングについて、強い牝馬で阪神JF、オークスを勝った馬で、フランケルの仔ですごい良血。というのは勉強前から一応知っておりましたが、それ以上のことは勉強しなければなりません。フランケルのこととか、母スタセリタのことなど、いろいろ勉強させていただきました。
今回は、なんとなくの冊子の構成みたいなものができていたのでその仮組みの写真を参考に文章を書いていこうと決めました。ちなみにOさんにいつもどんな感じで作るのか聞いてみると、まずはどんな感じのものにするか、テーマというかコンセプトというやつを漠然と決めて、デザイナーさんと一緒に形などを検討します。でもってまずはデザイナーさんに叩きみたいな形で写真やデザインを出してもらい。そこからカメラマンやOさんが色々と修正したり色をみたりしたりして、写真を選んだり紙質を決めたりと、完成形へと近づけていくそうです。
他にもいろいろとこだわりや気をつかう場所など聞きましたが、最後の色校が一番気をつかうそうです。色味の具合や誤字脱字、間違いのないように最終チェックをし印刷へと回します。ジャス君のクオカードの場合は僕がまるまるお金を出して作る形でしたのでまずは僕の文章ありきで、そこからデザインをあげてもらったような気がします。文章がある場合とない場合もOさんの作るクオカードはかなりクオリティが高いものに毎回仕上がっていると思います(僕の知るかぎりでは)。
話が横道にそれました。今回はすでに写真とデザインがこんな感じですと送られてきたのでその写真とダミーの文章が放り込まれている場所を参考にしてそこにどんな文章を入れ込んでいけばいいのかを考え、構成を考えていきます。歌で言うと詩先、曲先の曲先というやつですね。
まず最初は見開きでオークスの直線の写真。ここではオークスの振り返りをせねばなるまい。そして次の写真は直線のソウルスターリングのアップ。ここは彼女について、生い立ちや両親がいかにすごい馬だったかを。その次はゴール後ルメールが喜んでる写真。ここは母スタセリタにルメールが乗っていたことや、藤沢厩舎の皆さんのことについて書きつつ、レース後のコメントなんかでまとめてみます。
最後の部分はソウルスターリングの未来、これからについて。そんなこんなでこう見えていろいろ考えていることをアピールしつつ、我ながら自画自賛で申し訳ないのですが、本の構成としてはよい感じにまとまったかと思います。
とまあそういうわけでソウルスターリング会員の皆様の記念クオカード、今回はかなり紙質にこだわったというこのクオカード製作には僕も一枚かませていただいていますので今後ともよろしくお願いいたします。
先日ふらりと酒屋を覗いたらこんな焼酎発見しました。
「暁」
馬といいなんだか最近暁が流行っているのでは?と思ってしまう僕がいたりいなかったり。
イイナヅケは北海道のノーザンファーム空港へ放牧に出ました。減った馬体を戻すのと、頑張ったご褒美で夏休みということです。あ、それから今回のこの記事を記念して、ソウルスターリングやジャスタウエイのクオカードを抽選で5名の皆さんにプレゼントしたいと思います。
※大和屋暁オーナーのご厚意で、ソウルスターリングとジャスタウェイのQUOカードを競馬ラボ読者の皆様から、抽選で5名様にプレゼントいたします。気になる応募方法は近日、サイト内で発表いたします。お楽しみに!
大和屋オーナーも参加のPOGトークバトルも公開中!
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。