【マイルCS】充実の秋迎えるレッドアリオン「一発があっても」

20日、マイルCS(G1)の最終追い切りが栗東トレセンにて行われた。レッドアリオン(牡4、栗東・橋口厩舎)は助手が騎乗し、併走馬にはレースで騎乗する小牧太騎手が騎乗して坂路での併せ馬。強めに追われると、4F54.2-39.5-25.8-13.0秒をマークした。

「今日の追い切りはレッドアリオンなりの動きだったと思います。時計的にはあまりやり過ぎないようにしました。その方がこの子には合っているのかなと。この秋はそのようにやってきたのでね。もちろんやれば動きますけど、競馬に向かう良い準備をするためには、あまり気持ちを乗せ過ぎない方が良いのかなと思います。秋はこのスタイルでそれなりの結果が出ていますし、今回もレースに向けて力を残すようにしました」

こう語るのはダービー馬ワンアンドオンリーをも手掛ける若き腕利き甲斐純也調教助手。自身は2週連続でG1の舞台に担当馬を送り出すという責務を抱えているが、自然体の調整を強調。そして、ここ2戦のパフォーマンスの秘訣を、冷静に分析してくれた。

レッドアリオン

名門・橋口厩舎のオープン馬2頭を手掛ける甲斐助手とレッドアリオン


その秋2戦は降級直後、準オープンからの出発となったが、キャリア2度目の挑戦となった1800m戦の西宮Sを好時計で快勝すると、富士ステークスでも3着に好走。いずれも上がりは32秒台と出色の末脚を披露し、変化を窺わせている。

「番組の都合上、条件の良いローカル競馬場でのマイルのレースがないので、今のような成績になっています。やっぱりマイルが一番合っていますね。もともと体調の変動は少ないタイプで、ずっと安定していまし、今回は体重も今までで一番増えていて、充実していますよ。レースとしては少々立ち遅れることがあっても、ここ2走は後ろからの競馬になっているので、そんなに慌てる必要はないと思います。直線のところも大外に回しても良いし、中に入っていっても良いですしね」

そう声を弾ませるが、今春の3戦は逃げても、好位でも、差しても結果が出なかった。そこからの変貌ぶりには、調整法の工夫はもちろん、小牧騎手と手が合っていることも推測させる。
しかし、そんな進境が窺える2戦も、「見た目以上に掛かっている」と鞍上もこぼしているように、この馬にとって展開は厳しいもの。それでいて、力を示しているだけに、条件さえ整えばもうひと押しがあっても不思議ではないだろう。

「今まではスローペースの競馬ばっかりで、いつも終いに良い脚は使うんですけど、前残りとか、経済コースを立ち回った馬に届かないことが多いので、今回は流れてくれたら、全然、一発があってもおかしくないと思いますよ。その可能性はけっこうあるのではないかと思います」

若きホースマンは落ち着いた口ぶりの中にも、大駆けの可能性を示唆するが、この秋は重賞未勝利馬が5連勝中。兄弟対決となるクラレントをはじめ、2011年の本レースで2番人気に支持されながら、結果を残すことができなかったリディルなど、エリモピクシー一族の良血馬。今度はこの馬に出番が回っても不思議ではないポテンシャルを秘めていることは違いない。

なお、ジャパンカップ(G1)に向かうワンアンドオンリー(牡3、栗東・橋口厩舎)について、甲斐調教助手の独占インタビューは収録済み。こちらはマイルCSレース後、23日(日)夜より公開予定。併せてご期待いただきたい。