大金星!クリールカイザー 田辺「どうしたら負かせるか考えた」

●1月25日(日) 1回中山9日目11R 第56回 アメリカジョッキーCC(G2)(芝2200m)

してやったりの逃走劇だった。逃げ馬不在のメンバー構成。クリールカイザー(牡6、美浦・相沢厩舎)は果敢に先手を主張すると、1コーナーではハナへ。向こう正面では他馬にハナを奪われる場面もあったが、動じることなく2番手でぴったりと折り合う。程なくハナに舞い戻り、4角を回ると、同じく先行したミトラ以下は3馬身ほど離れた形に。直線でも脚色は鈍らず、危なげなく逃げ切ってみせた。

「着を拾うような競馬よりは、ゴールドシップをどうしたら負かせるか、ということがまずイメージにありました。先手を主張しようと思っていましたし、思い通りの競馬でした」と語るのは金星の立役者の田辺裕信騎手。続けて「思いがけない馬にマクられましたが、リズムを崩さずに自分から上がって行くことが出来ましたよ。初めて乗るので折り合いは未知な部分もありましたが、ハミも上手く抜けて辛抱してくれましたね」と会心の騎乗を回顧。
口にこそしなかったが、中京では昨年、6戦にわたりコンビを組み続けたコパノリッキーが東海Sを快勝。乗り替わりに対し、反骨心があったことは想像に難しくない。勝ちにこだわる姿勢が実った一戦だった。

これで田辺騎手、管理する相沢郁調教師のコンビはAJCC連覇を達成。「去年は同じ相沢厩舎のヴェルデグリーンで勝たせてもらって、将来を楽しみにしていましたが、残念なことになってしまいました。また(相沢)先生がチャンスをくれて、結果を出せて良かったです」と田辺騎手。自身が主戦を務めて重賞2勝に導くも、病によりこの世を去ったパートナーに思いを馳せたが、縁ある人馬での新たな一勝は、名コンビ誕生を予感させた。

また、昨秋は3、2、3着とあと一歩でタイトルを逃してきたクリールカイザーにとっても、これが嬉しい初の肩掛け。「展開はどうあれ、あのゴールドシップを負かすことができましたからね。これで胸を張ってG1にむかえます」と鞍上は腕をぶすが、昨年の1月は条件馬だった存在が、この一年で右肩上がりの成長。遅咲きの6歳馬の勢いで、今後は大舞台を沸かせてくれそうだ。

クリールカイザー

クリールカイザー

クリールカイザー

クリールカイザー

昨年に続きAJCCを連覇 東海Sもグランドシチーが2年連続2着と存在感をみせた相沢郁調教師