これは驚き、インカンテーションの逃げ 力強い勝利だ!

インカンテーション

15年5月23日(土)3回京都9日目11R 第22回平安S(G3)(ダ1900m)

インカンテーション
(牡5、栗東・羽月厩舎)
父:シニスターミニスター
母:オリジナルスピン
母父:Machiavellian

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すっとクリノスターオーが逃げた。《ああ、自分の形に持っていけた》と思った最初のカーヴ。次の瞬間にTVの画面が替わった途端に、内から先頭に立って行くインカンテーションが写りだされる。コーナーワークで先手を取っていったインカンテーション。結局はそのままクリノスターオーの追撃を抑えての完勝となった。
馬体も増えて、さらにパワーアップしたインカンテーション。逃げの手に出た作戦は、何と3歳の2勝目を挙げた時以来の事。思いっきりのいい騎乗で強気の競馬をした内田博J。秋にコパノリッキー、いや6月末には、帝王賞で日本ダート王者のホッコータルマエとの戦いが待っている。新しい武器をも加えて、ダート路線は俄然に面白くなってきた。


1000m通過が1.00.8である。これは、このクラスではかなり遅い流れだ。2番手のクリノスターオーも悪くない流れと思っていただろう。惜しむらくは、4角手前あたりでズブさを出していた点だろうか。《あそこでインカンテーションにもっと肉薄して行けてたら》は後で言うこと。あそこが勝負どころだったのだけは間違いないはずだ。
3着ローマンレジェンドは、ジワジワと詰めたが、クビ差の3着は58キロの斤量も微妙に影響か。ナムラビクターはやはり難しい馬なのであろう。稽古は今回、スムーズに出来たと思ってはいたのだが、道中とかイロイロとある様だ。アジアエクスプレスは好位でのレースを選択した様子。だがこの流れでは、終いがなくなってしまうのかも。この馬も、ちと難しい感じである。やはりマイル前後が一番なのかも知れない。ドコフクカゼはいい脚を使うが、やはり外々を廻ってくる馬には流れが不向き。

何と言っても、このレースはインカンテーションに始まって終わった。内田博Jのしてやったりの競馬であった、そんな印象であった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。