関東馬のワンツーだ!スマートオリオンが勝利!!

スマートオリオン

15年7月26日(日)3回8日目11R 第63回中京記念(G3)(芝1600m)

スマートオリオン
(牡5、美浦・鹿戸厩舎)
父:グラスワンダー
母:トロピカルレディー
母父:ウイニングチケット

中京記念(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒

うだる様な暑さの中京競馬場である。日が当たる場所では競馬観戦をしたくない程の照りかえしだ。それでも大勢のファンが溢れる場内。名古屋は熱いのである。
芝は内を開けて馬場の真中から外での決着が目立っていた。それ程に荒れた芝。そのコースを良く知っているM.デムーロJに導かれたスマートオリオンが、サマーマイル・チャンピオンに向ける一歩を踏み出した。2着にも東からのアルマディヴァンと、荒れに荒れた中京シリーズであった…。


前日から、芝コースでは内をガラっと開けた攻防が目立っていた。土曜はインを突いた馬が伸びあぐねるシーンもあった。5Rの新馬戦のアオイプリンセスで、コース取りの巧さで馬の能力を遺憾なく発揮させたM.デムーロJ。この中京の芝コースの特性をいち早く理解して自分のものにしている感があった。
カレンブラックヒルの先手から始まった今回の中京記念。PVで見ると、スマートオリオンはあまりスタート自体はあまり速くなかった様だ。押してすっと出して行っている。迷うことなく2番手で、それも内を開けている。その内をカレンブラックヒルが行く。しかし内外の差はかなりあった。外からメイケイペガスターが前に出る。スマートオリオンの横にはダローネガエールブリーズが上がってきた。カレンブラックヒルはスマートオリオンの内でその後にカオスモストーセンレーヴとなっている。
感心するのは(もちろん後でPVを観てだが)M.デムーロJの進路の取り方である。向こう正面はけっこう内を開け、3角のカーブでは内へ少し入っていってロスを少なくする。4角もしかりである。直線に至っては、どんどんと馬場の外へ出して行く。エールブリーズとスマートオリオンの間に、アルマディヴァンが突っ込んで来たのである。やはり、馬場は真ん中の伸びが一番いいのを知っている鞍上による勝利なのである。

そもそも、スマートオリオンにM.デムーロJが前に乗っていた事さえも覚えていなかった。まだある。アルマディヴァンに藤岡佑Jが乗って3着も、記憶から飛んでいる。このアルマディヴァンは中山で勝った時に《右廻りは大丈夫か?》と言われており、サウスポーみたいに左ばかり使われていた過去なのである。良く馬券検討の時にはチェックしていた馬でもある。
私の眼の前で佐々木晶師が応援をしていた。ダローネガのゴール前だ。しかし外は思うほどに伸びていかない。アルバタックスもしかりなのである。中京芝は内が悪く外がいいと、簡単に思わない方がいい。高松宮記念で勝った時もそうだった。M.デムーロJはそこを良く見知っている、そんな気がした。
コースを熟知した鞍上に導かれて、スマートオリオンはサマー・マイルシリーズのトップランナーとなった。この後は当然に関屋記念に行く事だろうと思う。鞍上はちょうど新潟シリーズに参戦と訊いている。何と帳尻が合う事なんだろうかと思ってしまう。

1番人気カレンブラックヒルは7着。それでもコンマ2秒差だ。ハンデの58.5はG1馬であるから仕方あるまい。2番人気レッドアリオンは、ダローネガの外で最後までもがき苦しんでいた。コンマ3秒差の8着だった。名古屋巧者のゴールドベルは10着。トーセンレーヴは12着。終わってみてもっと時間をかけて考査しても、果たしてこの1,2着の馬券に行くつくかは何とも言えないなと思えてしまう。それ程に魅力のある役者が多かった。
だがコースを良く知っている鞍上と隠れた名サウスポーと関東馬に気がつかないかぎり、払い戻し窓口には近づけないのである…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。