驚愕の連覇ストレイトガール 2馬身半圧勝で史上初の7歳牝馬G1制覇!

●5月15日(日) 2回東京8日目11R 第11回ヴィクトリアマイル(G1)(芝1600m)

G1馬・7頭、なおかつ前走重賞勝ち馬が4頭という昨年以上に好メンバーが揃った今年のヴィクトリアマイル(G1)。昨年のジャパンC勝ち馬ショウナンパンドラを筆頭に牡馬混合重賞で確たる成績を残してきた馬も多く、ハイレベルの争いが予想されたが、勝ちタイムは下馬評通りに1分31秒5(良)というコースレコードに迫る超高速決着。それを7歳牝馬のストレイトガール(牝7、栗東・藤原英厩舎)がやってのけたのだから、誰もが度肝を抜かされた春の女王決定戦だった。

道中は"(調教師との)作戦通り"と戸崎圭太崎騎手が回顧したように、中団のインで前に馬を置く形でレースを進めたストレイトガール。前走で先行して終いが甘くなったレースを踏まえ、末脚を活かす形を選択すると、直線では前が開く幸運。そこから軽く気合いをつけられると、あっという間に抜け出し。みるみるうちに後続とのリードが広がり、終わってみれば2馬身半差をつける文句なしの快勝劇を演じてみせた。

「前走はこの馬らしい競馬が出来なかったのですが、道中で良い位置につけられて、これなら伸びてくれるんじゃないかと思っていたんです。時計が出る馬場ではありましたが、このタイムは素晴らしいですね。この走りなら、今後もまだまだやれますよ」。これまでにコンビでG1・2勝を手にしてきた主戦でさえも、その素質の高さに惚れ直した様子だった。

連覇が懸かっていた一戦だったが、思えば昨年のVMは直線を向いた時点で先行馬に大きなリードを許す危機的な状況。2年連続JRAリーディングと百戦錬磨の鞍上でさえも肝を冷やしたという劣勢を挽回する、一気の差し切りをみせたのがパートナーだった。レース後は「馬に助けられた」と自らの騎乗を反省していた主戦だったが、今年もその感謝の念がより深まるばかりだったようだ。

「ストレイトガールに頭が下がる思いでいっぱいですね。G1で何が飛んでくるかわからないので入れはしましたが、実はステッキも使わなくて良かったほどですよ。本当に素晴らしい馬です」と賛辞は止まなかった。

ストレイトガール

一時は昨年の香港スプリントをもって繁殖入りが表明されていたストレイトガールだったが、オーナーの鶴の一声で引退を撤回。そのオーナーの意向を受けて、現役続行の最終ジャッジをくだした張本人である藤原英昭調教師も驚きを隠さない。

「(引退の)過程もあった中での前走だったので、馬もボケていたのかもしれません。この中間は馬体に光沢があり、張り裂けそうなほどの張りを維持し、状態には『これなら』と思うところがありましたが、まさかですね。(前走の敗戦で)失意の中でしたが、じっくり仕上げてくれたスタッフと馬には感謝したいですし、馬券を買ってくれるファンには強気なコメントを残せず申し訳なかったです」

2010年の日本ダービーなどこれまでに7つものG1タイトルを手にしてきた名トレーナーをもってしても、この結果には「年齢が年齢だけに」と半信半疑だった様子。目を潤ませつつ愛馬をねぎらっていたが、人間の想像を超越する走りをみせた7歳牝馬に、関係者のみならず誰しもが畏敬の念を感じずにはいられないだろう。

現役続行を決意した段階でこの日が最大目標とされていただけに、次戦については明言されなかったが、老いてますます盛んなストレイトガールなら今後のミラクルも期待せざるをえない。秋は牡馬混合のスプリンターズSやマイルCSなのか、それとも藤原厩舎ではおなじみの香港遠征もありうるのか。その動向と走りを固唾を呑んで見守りたい。

<アラカルト>
・フジキセキ産駒はヴィクトリアマイル最多4勝目
・史上初の7歳以上「牝馬」によるG1初制覇
・勝ちタイムはレースレコード

ストレイトガール

ストレイトガール

ストレイトガール