【振り返れば馬券になる!】今回は参考外!?叩き上げの苦労馬!

11月18日の日曜日。京都競馬場でマイルCSが行われたこともあり、裏開催の東京競馬場には外国人ジョッキーが一人もいなかった。この秋の東京競馬場に外国人ジョッキーが一人もいなかったのは先月21日、菊花賞の裏開催だった時以来である。通常、外国人ジョッキーのレース後コメント取りは通訳の方を挟んで行われるが、通訳の方も一人もいない検量室は何となく静かな雰囲気を漂わせていた。

そんなこの日のメインレース・霜月Sで1番人気に推されたのはダンツゴウユウ(牡4、栗東・谷厩舎)。競馬ラボでは小野田学記者が度々取り上げている伸び盛りの4歳馬だ。昇級初戦、今回も1番人気に推されたように、素質の高さは誰もが認めるところ。しかしオープン初挑戦の壁は高かったか、7着に敗れてしまった。騎乗した酒井学騎手は「1400mの分、落ち着くのは早かったですね。ただ道中右にモタれて走っていました。使い詰めていた影響もあるのかもしれません」と敗因を分析する。大きな休みを挟まず、今年10戦目。再度の関東遠征で目に見えない疲れが残っていたのかもしれない。

ただ、ここまで26戦中14戦でコンビを組む酒井騎手の顔に悲観の色はない。「3コーナーでハミは抜けてくれました。すぐにエンジンが掛かるタイプではないので直線に向いてエンジンを掛けましたが、ラスト、前が壁になってしまいました。そう考えれば着順以上に力があります」とレースを振り返る。パトロールビデオを見ると、残り100mで左前を走っていた2着のプロトコルが進路に入ったことで、前が壁になった酒井騎手が追えなくなっているのがよく分かる。この不利さえなければ掲示板には載っていたであろう。注目の次走だが、この後は休養を挟むとのこと。「リフレッシュしてまた頑張ってもらいたいです」と力強く語るように、酒井騎手の期待度が高い馬。次走も忘れずにチェックしておきたい。

ちなみに酒井騎手はしっかりレースを分析し、関東の内田博幸騎手同様、取材陣に丁寧に、スタートから一つ一つ説明してくれるタイプのジョッキー。その話は面白いものばかりで、個人的にずっと話を聞いていたい。ジャッジも正確。レース後コメントに注目している方は、酒井騎手のコメントを要チェックして損はない。


もう一頭挙げるなら、東京4R・2歳未勝利で4着だったムニアイン(牡2、美浦・和田雄厩舎)。ユートピアを筆頭に数多くの活躍馬を送り出すハニーサツクルヴアイン の一族出身の2歳馬だ。先日の東京スポーツ杯2歳Sで2着だったアガラスの近親にあたる。9月中山開幕週のデビュー戦は6着に敗れ、距離短縮で迎えたのが今回の2戦目だった。デビュー戦の鞍上、C.ルメール騎手は「距離は長くてもいい」と言っていたが、距離は初戦より400m短い1600m。そして今回は思いっきり出遅れてしまった。上がり3Fメンバー中2位の33.9という脚を使ったものの4着までが精いっぱい。

騎乗したのは池添謙一騎手。「終いは来ていますが、ゲートの中でガタガタするんです……。まだまだ子どもですね。いいモノは持っているのですが、もう少し大人になってほしいところです」と悔しそうな表情で話す。オルフェーヴルなど数々の気難しい馬とコンビを組んできた池添騎手にそう言わしめるのだから、それだけまだ幼いのだろう。

母は09年函館2歳S(G3)で3着に食い込むなど、短距離路線を中心に走ったソムニア。距離短縮は奏功している感はある。池添騎手も素質を評価するように、能力は高い馬。成長すれば上のクラスでも戦えるだけの存在になりそうだ。

レース後、ジョッキーたちから発されるコメントは様々である。
「うまくいった」
「調子が良かった」
「馬が強かった」
etc…

もちろんこれらのコメントも非常に重要ではあるのだが、よりオイシイのは、負けたジョッキーのコメントだろう。検量室に引き上げてくるジョッキーの表情はそれぞれ違う。悔しそうな表情を浮かべて戻ってくるジョッキーも多い。道中の不利、自身のミス、理由は様々だが、彼らのコメントこそ、次に繋がる。このコーナーでは現場にいたからこそ知りえる敗因、そしてジョッキーの表情などを取り上げながら、次走以降妙味のある馬を挙げていきたい。