研究員ヤマノの重賞回顧

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7/1日(日)、函館競馬場で行われたサマースプリントシリーズ第1戦・函館スプリントS(3歳上、G3・芝1200m)は、好位からレースを進めた角田晃一騎手騎乗の3番人気アグネスラズベリ(牝6、栗東・西浦勝一厩舎)が、最後の直線でインからスルスルと伸びてきて、逃げた6番人気サープラスシンガーをゴール前でクビ差交わし、初の重賞勝利を成し遂げた。勝ちタイムは1分08秒9(良)。
さらにハナ差の3着には、4番人気ブラックバースピンが入線。
なお、横山典弘騎手騎乗の1番人気アドマイヤホクトは12着に敗れた。
レースは好スタートを決めたサープラスシンガーが積極的にハナを切り、淀みなく流れていった。
勝負どころの最終コーナーで、逃げ込みを計るサープラスシンガーに各馬一斉に襲い掛かるかと思われたが、意外にも目立った脚色で伸びて来るのは大外を回るブラックバースピンくらいの様に見えた。
後続馬は道中なし崩しに脚を使わされてしまったのだろうか?
しかし、最内からスルスルと抜群の手応えで伸びてきた一頭の馬がいた。
6歳牝馬アグネスラズベリである。
直線ではサープラスシンガーを真ん中に内にアグネスラズベリ、外にブラックバースピンとゴール前混戦となったが、勝利を手中にしたのは牝馬アグネスラズベリだった。
勝ったアグネスラズベリは、最近常に重賞戦線を賑わせるも勝ちきれない、あと一歩の競馬が続いていた。
デビュー戦で既にスイープトウショウの2着に入るなど、早くから高い能力を見せていたが、それが今までは結果に現れていなかった。
昨年はCBC賞後の夏は休養にあてていたのだが、今年は路線を変更して夏競馬を使ってきたのが、今回功を奏した形となった。
函館コースは初だったが、札幌での実績はあり、このレースもここまで牝馬が4連勝中と相性が良かったのも、追い風となったのかもしれない。
何れにしても、陣営の努力が今回の好結果を導きだしたといえよう。
アグネスラズベリはこれを機に今後上昇気流に乗って、さらなる活躍を見せてくれるにちがいない。
思うような結果が出ずとも決して諦めず試行錯誤すれば、僅かなキッカケから活路は開けるということを感じさせられた、今年の函館スプリントSだった。

同7/1日(日)、福島競馬場で行われたラジオNIKKEI賞(3歳、G3・芝1800m)は、好位から早め先頭に進出した柴山雄一騎手騎乗の2番人気ロックドゥカンブ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)が、直線でも末脚を伸ばしてそのまま押し切り、見事栄冠に輝いた。勝ちタイムは1分47秒7(良)。 2着にはゴール前、インから鋭く伸びた14番人気スクリーンヒーローが1.1/2馬身差で入線、さらに1/2馬身差の3着には4番人気イクスキューズが入線した。 なお、吉田隼人騎手騎乗の1番人気クランエンブレムは6着に敗れた。
レースはマイネルランページとレットイットライドの激しい先頭争いで始まり、両者譲ることなく後続を引き離す、息の入らない流れとなった。
ここまで連勝中のロックドゥカンブは3コーナーから抜群の手応えで進出を開始。
最終コーナーでは早くも先頭押し切りの態勢に入り、そのまま快勝。
これで無傷の3連勝で重賞初制覇。秋の3歳クラシック戦線へ駒を進めることとなるに違いない。
春のG1戦線が終わってしまった今、競馬ファンにしてみればこのような新勢力の出現は、秋の楽しみがまた一つ増えて実に嬉しいことである。
同馬やキンシャサノキセキなど、遅生まれの南半球産馬は夏に台頭してくることがあり、これからの夏競馬から目が離せない。
こうして勝ち馬ロックドゥカンブの強さが際立った今年のラジオNIKKEI賞だったが、2着の14番人気スクリーンヒーローの激走もなかなか興味深いところだ。
確かに前2走を見る限りでは、あまり買える強調材料はなく、人気薄なのは妥当なところだったろう。
しかし成績を見直してみると、右回りでは(2.2.0.1)、ダートとはいえ1800mも(2.2.0.1)と実績があるのがわかる。
さらに舞台は先行有利な小回り福島。
こうして考えるとあながち買えない馬ではなかったことがわかる。
3着イクスキューズにしても、右回りでは(2.1.2.2)、1800m(1.0.1.0)の実績があった。
適条件の好調馬を探すこと。
それが夏競馬で穴馬券を仕留める一つの切り口なのかもしれない。