研究員サカマキの重賞回顧

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馬インフルエンザ騒動の影響が懸念される中、先週は2つの重賞が行われた。

まずは、日曜新潟で行われた新潟記念(G3 芝2000m外)。
充実一途の5歳馬ユメノシルシ(牡5、美浦・大久保洋厩舎)が2番人気の支持に応え、早め先頭から押し切り見事重賞初制覇を飾った。
前後半の5ハロンが58.1-59.7という前傾ラップを前々の競馬で押し切った強い内容。
一瞬の脚に秀でたフジキセキ産駒ということで、長い直線がプラスに働くかどうか疑問視する向きもあったが、最後まで脚色は衰えなかった。
やや使い詰めの感は否めないものの、この充実ぶりは本物。
成長曲線が緩やかで好調期間の長いフジキセキ産駒という点ではドリームパスポートに通ずるものもあり、秋のG1戦線でも目が離せない存在と言える。
2着に入ったトウショウヴォイス(牡5、美浦・小桧山厩舎)も豪快な差し切り勝ちを決めた前走の勢いをそのまま持続させた格好。
好走実績がマイル周辺に集中していたことで、距離不安も囁かれて10番人気の低評価に甘んじていたが、最後はこの馬らしい素晴らしい伸び脚を見せた。
東京や新潟に好走歴が多いように、長い直線をフルに使う競馬が合っている。
勝ったユメノシルシは母父がグレイソヴリン系トニービン。
これでこのレースは、新潟競馬場改修以降7年連続でグレイソヴリン系の血を持った馬が連対を果たしたことになる。
もっとも、グレイソヴリン系からどの馬を中心に据えるかで毎年相当悩むのだが…

同じく日曜日、札幌競馬場では重賞昇格後2回目となるキーンランドC(Jpn3 芝1200m)が行われた。
勝ったのは3歳牝馬のクーヴェルチュール(牝3、美浦・国枝厩舎)。
古豪の強烈な差し脚を完封しての先行押し切り勝ちだった。
初の古馬混合戦出走となった3走前のバーデンバーデンC(福島芝1200m)で超ハイペースを難なく先行してそのスピードを見せ付けていた本馬。
前走のアイビスSDでも果敢に逃げて0.1秒差3着と好走しており、ココで通用するだけの下地は整っていた。
51キロという軽量に助けられたとはいえ、函館SS上位勢を押さえきった内容は秀逸である。
今後の課題は坂の克服と成長力。
次走以降で注目したいのは、10着に敗れたシンボリウエスト(セン7、美浦・藤沢和厩舎)。
終始外々を回らされるツライ展開。
勝ち馬から0.7秒差なら情状酌量の余地あり。巻き返しに注目したい。