研究員ヤマノの重賞回顧

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10/7日(日)、東京競馬場で行われた毎日王冠(3歳上、G2・芝1800m)は、チョウサン(牡5、美浦・清水利章厩舎)が8番人気ながら、 最後の直線で最速上がりを繰り出してレコードタイムで重賞初制覇を成し遂げた。
走破タイムは、改修工事後の従来のレコードを1秒以上も凌ぐ1.44.2。
これは、あのサイレンススズカのタイムを0.7上回る好タイムだ。

しかし、11着までが従来レコードを上回ったこのタイムは、速い時計が出る超高速馬場で、快速馬ストーミーカフェとコンゴウリキシオーが引っぱった恩恵に与った感は否めない。
まあ、それらを割り引いてみても、格下馬チョウサンのこの走りは、天晴れだったと言えるだろう。
ところで、レース後にはチョウサンの強さを讃える声の一方で、勝ち馬のユニークなネーミングが巷で取り沙汰されたのは、興味深いところだ。
折りしもジャイアンツがセリーグで優勝し、TVで「踊る大走査線」の再放送が始まったタイミングでのこの優勝に、オカルト派の面々は、長嶋茂雄さんや、故いかりや長助さんの愛称「長さん」を重なり合わせたようだ。
確かに過去、アメリカ911テロの年の有馬記念をはじめ、不思議と時流と符合する名前の馬が活躍したことがあるのだから、ミステリアスと言うしかないのだが…。
まあ、これもひとつの競馬の楽しみ方だから、“然り”とするべきか。
そんなオカルト的な競馬の楽しみ方は別にして、今回の東西重賞の共通点は、“宝塚記念から直行の実力馬が、夏に使われ、秋ひと叩きされた馬に屈した”ということが挙げられる。
それは、異常ともいえる今年の夏の酷暑が少なからず影響したのではなかろうか。
かの馬インフルの大流行の原因も、そこにあったのかもしれない。
過酷な今夏を順調に使われて乗り切った馬と、夏を休養に充てた馬とのハンデは、今年は例年よりも大きいのかもしれない。
だとすれば、秋華賞に出走するウオッカは果たしてどうなのだろうか?


同7日(日)、京都競馬場で行われた京都大賞典(3歳上、G2・芝2400m)は、インティライミ(牡5、栗東・佐々木晶三厩舎)が、人気を分け合っていた1番人気ポップロックとのマッチレースを制して優勝した。
これで対戦成績は1勝1敗。
この2頭は今後も良きライバルとして互いに鎬を削り合い、我々を楽しませてくれることだろう。
この2頭はどちらもG1 2着の実績馬だ。
方やダービー2着、方や有馬記念2着だが、どちらも優勝馬がディープインパクトだったのも何かの因縁かもしれない。
今後、どちらが先にG1タイトルをモノにするのかが、今後の焦点となる。
このように、今では互いに鎬を削りあうG1 2着の実績馬同士だが、これまで歩んできた道程は全く異なる。
インティライミはダービー2着で早くから脚光を浴びたが、その後酷い裂蹄に悩まされ、2年余りの間、辛酸をなめてきた。
ポップロックはデビューして4年目にようやく重賞に手が届き、昨秋のメルボルンCで一気にブレイクした。
歩んできた道程が全く違うこの2頭だが、それぞれ、道程は決して順風満帆だったとは言えないところは共通している。
紆余曲折の末、真の底力を身につけたのは果たしてどちらなのだろうか。
今後もこの2頭の熱い対決から目が離せない。