日曜の東京7R・4歳上500万。道中3番手で運んだペイシャボムが直線で抜け出すと、後ろから迫るゴールドクロスの追撃をクビ差抑えて見事1着。鞍上の山田敬士騎手にとっては昨年9月23日以来の勝利となった。

『ペイシャ』の冠名の馬で山田騎手と言えば、昨年10月13日新潟競馬場でのペイシャエリートによる『距離誤認』が思い出される。この事件の当日からこれまで3ヶ月の彼の歩みについては競馬ラボにて独占告白を書かせていただいた。「終わった…」山田敬士騎手が『あの日』からの3ヶ月を独占告白を参照していただきたい。

山田騎手とは仲良くさせてもらっているだけに、復帰して以降、彼の勝利に対する思い、そして競馬に取り組む姿勢が、以前より高まっていることは強く感じていた(元々高かったが)。なんとか北所オーナーに恩返ししたいという思いも感じ取っていた。そして今回、復帰後初勝利を北所オーナーの所有馬で成し遂げたのである。

ウィナーズサークルから検量室前に戻ってきた山田騎手は、目にうっすら涙を浮かべていた。「感無量です。モヤモヤしていたものが晴れたというわけではないですが、オーナーには乗せてもらい続けて、一鞍一鞍大事に乗ろうと思っていました。色々言いたいことはありますが、言葉が出てきません…オーナーにありがとうございますと言いたいです。これからが再スタートです!」と語る。聞いていたこちらも泣きそうになる。その後熱い握手を交わし、勝利を称えた。個人的にも忘れられないレースとなりそうだ。彼のこれからの活躍に心から期待したい。

山田

ペイシャボムのゼッケンを手に笑顔の山田騎手


日曜の東京競馬は雪の影響で1Rの発走時刻が1時間遅れた。ただ6Rが終わる頃には騎乗したジョッキーから「だいぶ乾いてきた」という言葉が聞かれ、終盤のレースでは「馬場が硬過ぎる」という声も聞かれた。


共同通信杯は◎フォッサマグナが4着。2戦目ということを考えればよく頑張っている。距離も少し長かった感じはあるため、距離短縮でまた期待したい。そんなレースを制したダノンキングリーの上がり3Fは32.9。スローペースなら降雪の影響をほとんど感じさせない上がりタイムが飛び出している。

ダノンキングリーと同じディープインパクト×ストームキャット系の配合なのが、東京11R・クイーンCの◎カレンブーケドール。ハナは恐らくジョディーだろうが、彼女の2走前、赤松賞で刻んだペースは前半3F35.6。先行馬が手薄で、クイーンCも共同通信杯同様そこまで速くないペースが推測される。そう考えればある程度末脚がしっかりしているタイプが狙い目となる。

カレンブーケドールは新馬戦でダノンキングリーとアタマ差の接戦を演じた。なかなかレベルの高い新馬戦で、その後4着までが芝で勝ち上がっている。ある程度前残りの流れを上がり3F33.0の末脚で差し込んだ内容は秀逸。前走も若干忙しい中山マイル戦を半ば強引に差してきており、昇級戦でも通用する力を秘めている。

クイーンCとディープインパクト産駒の相性はいいが、3着以内に入ったディープ産駒の母父を見ると、クロフネ、タピット、ストームキャットなど、ある程度ダート色の濃い母父の名前が並ぶ。カレンブーケドールの母父は米ダートG1・フロリダダービーを制したスキャットダディである点も好感が持てる。

前走の阪神JFは出遅れなければ勝っていたと思われるクロノジェネシス、安定感あるビーチサンバ、楽なペースでレースを運ぶことができそうなジョディーあたりを中心に考えていきたい。

クイーンCの予想印はコチラで公開⇒



その他からは合計3レース取り上げる。


東京3R・3歳未勝利の◎ドンヒューズはここ2走5、4着とあと一歩足りない成績が続いているが、馬番は1番、5番であった。ヘニーヒューズ産駒はダートの場合外枠でパフォーマンスを上げる産駒が多く、外枠替わりで前進できる可能性はある。ちなみにモーニンがフェブラリーSを制した時も14番枠であった。

日曜の東京ダートは各ジョッキーが凍結防止剤の影響を口にしていたように、やや重という発表以上にパワーが必要な馬場であった。ドンヒューズは体重が520キロに迫る大型馬で、今の東京ダートの適性は高そう。相手は弱くないものの、適性と枠の差を生かして粘りこみを図りたい。


東京9R・テレビ山梨杯は◎アヴィオール。前走は中山芝1800mで2着に敗れたものの、リダウツチョイス産駒は体型の構造上決め手を生かしたい馬が多く、本質的に東京向きの馬が多い。実際中山芝(0.1.2.10)に対し東京芝(6.3.1.21)という成績だ。

非常に素質の高い馬で、既走馬相手のデビュー戦で先行抜け出しから1着になるなど、競馬センスも高い。ここ3走一周コースの競馬で負け続けているが、東京ならもう一押しが利く可能性は十分ある。


東京12R・4歳上1000万の◎エピックアン「今週のコメント特注馬」でも取り上げている。こちらのコーナーもぜひ注目してもらいたい。

血統面からも今回の距離短縮は魅力的で、母のラフェクレールは安田記念などを制したアドマイヤコジーンの妹。現役時代はマイラーであった。本馬の姉であるサクレディーヴァも半周短縮で500万条件を卒業した馬。距離短縮は非常に魅力的である。