一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
オールカマーはカレンミロティックに騎乗
2016/9/22(木)
先週はマイネルレンカ(6人気)で勝つことができました。スタートしてから進んでいかなかったものの、ダートの走りが凄く良かった。エンジンがかかってからは、一度内に入れて抜け出すのを待つ余裕すらありました。時計はまだ詰められるはずで、あの内容なら昇級してからも楽しみです。コスモボアソルテ(8人気②着)は気持ちが途切れずに最後まで一生懸命に走ってくれた。本来の良さが戻ってきましたね。コスモナインボール(8人気②着)は抜け出したところで差されてしまいましたが、1000万では能力が上といった走り。距離もこのくらいが合いますね。セントライト記念のキークラッカー(9人気⑫着)は、仕掛けてリードを取って逃げようとしたのですが動き切れなかったという印象。500万を勝ったばかりの馬ですし、現状は相手関係が厳しかったのかもしれません。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。2Rのウランゲルの前走は外枠が厳しかった。スピードがあるので、内目の枠から流れに乗せていければ前進が見込めます。3Rのアンネリースの前走はゲートがあまり良くなくて、道中の追走も思っていたほどの手応えではありませんでした。少し間隔は空きましたが、競馬を覚えてくれていれば今回も勝ち負けです。10Rのコスモカナディアンは、前走が強い内容で好時計勝ち。未勝利を中山で勝っていてコースも合うので、昇級緒戦から頑張ってくれるはず。
11Rのアブマーシュは一瞬のキレる脚を使えるというイメージ。展開が向いてほしいところもありますが、持ち味を活かす乗り方を心掛けます。12Rのマイネルシュバリエの前走はコントロールが難しい面を出してしまいました。この中間、工夫しながら乗せていただいているので、上手に競馬をさせて力が違うところを見せたい。ここのところスタートが良くないのですが、理想は前目で流れに乗せていきたいです。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。栗東で追い切りに乗せていただいたオールカマーに出走するカレンミロティックは、とても乗りやすくてコントロールしやすい馬です。状態の良さも伝わってきました。前目で長くいい脚を使える印象で、自分としては得意なタイプだとも思います。目標のメルボルンCに繋がる競馬を意識しつつ、結果まで残せれば最高ですね。2Rのタックボーイはデビュー前の追い切りに乗せていただいて素質を感じた馬。初戦は相手が悪かったという印象でしたが、2戦目で前進を見込んでいます。
3Rのマイネルサダクビアは札幌戦を見る限り、昨年乗った時から力はつけているという印象。ダート替わりもいいほうに向いてくれませんか。5R(2歳新馬)のフィーリングハートは1週前の追い切りに乗せていただきました。初戦向きかは何とも言えないところですが、奥がありそうな雰囲気で、先々は走ってくると見ています。12Rのコスモコレクションは約1年ぶりの騎乗。以前は乗り難しいイメージがあったので、休み明けが良いほうに向いてくれませんか。上手く立ち回ってクラスに目途を立ててあげたいです。
初めて行った栗東トレセンは、新鮮で刺激を受けつつ、まだ手探りのまま帰ってきたという感じ。率直な印象としては美浦と比べて坂路が狭く感じたのと、入りくねった逍遥馬道はとてもいい環境だなと思いました。馬場が悪かったこともありますが、坂路の斜面は急で馬には凄く負荷がかかりますね。今回は強行スケジュールでしたが、こういった遠征も積極的に繰り返して、もっともっとスキルアップしていきたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。