競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【金鯱賞】末脚を発揮できるコンディションで古豪をひと飲み
2021/3/9(火)
桜花賞への道も大事だが、やはり無敗での牝馬3冠に輝いたデアリングタクトが出てくる金鯱賞に注目してしまう。松山騎手の活躍が目立つ様になったのも、彼女との出会いではなかったか。何せ、最近の彼は頼もしい。外連味がないのがいい。そして再びデアリングタクトとの戦いが今年も始まった。
あの劇的なメンバーだったジャパンカップ。アーモンドアイ、コントレイルには先んじられたが、負けてなお存在感を示した一戦ではなかったか。いったいどれだけの体になって出てくるのか、パドックから楽しみである。
412.5mと西日本では最長の直線を持つ中京競馬場。開幕週で芝もだいぶ回復している。思いっきり末脚を発揮できるコンディションだろう。グローリーヴェイズ、キセキと古豪をひと飲みにするシーンを見られるだろう。
21年3/7(日)2回中山4日目11R 第58回 弥生賞ディープインパクト記念(G2、芝2000m)
- タイトルホルダー
- (牡3、美浦・栗田徹厩舎)
- 父:ドゥラメンテ
- 母:メーヴェ
- 母父:Motivator
弥生賞(G2)の結果・払戻金はコチラ⇒
3連勝しているダノンザキッドの弱点は若さだろうと、先週の当欄で挙げた。着差ほど楽な勝ち方ではなかったと。だが、どうしても3連勝、負け知らずとなると期待度が大きくなり過ぎて、1.3倍の圧倒的人気となった。2番人気は同じく無敗のシュネルマイスターだが、4.9倍とかなり差が開いた。
シュネルマイスターの前走は、馬群の中から弾けて飛んできた感じだった。あれがこの2000の距離でも出来たら、負けなしの競馬が続くのだろうが、そうは行かなかった。ルメールもそこが懸念材料だと思っていたに違いない。
だからゆっくりと前を行くタイトルホルダーを4コーナー手前でも捕まえに行く動きが出来なかった様だ。あそこでは前の馬が楽をしているのは誰にでも判る。勝ちに行くには、あそこで前に仕掛けていくはずだ。それが出来てないのが、やはり距離的にどうかと思える心の中。後ろのダノンザキッドを来るのを待っていたはずもない。はっきりと相手は前だと判っていたはず。
直線の長さが310mの中山競馬場。4コーナーに入る前が、あと400mのハロン棒だ。そこから11.0~11.9のラップ。上り3Fはタイトルホルダーとまったく同じ上り脚である。4コーナーのカーブはタイトルホルダーが内ラチ沿いをいちばん小さくで、次いでがシュネルマイスターである。ダノンザキッドはタイムトゥヘヴンがいたからその外を廻る。ここでの差も大きい。
パドックで観ていて、シュネルマイスターの体型はムキムキに近いが、前と後ろではかなり差がある。お尻が前に比べてかなり高い。まだまだ若すぎる体だと言っていいだろう。
しかしダノンザキッドも凄い脚を持っているのが判る。4コーナーではまったくダメだろうと思えたのだが、ゴール寸前ではシュネルマイスターにクビ差まで詰め寄った。やはり走る馬だと判る。
まだまだ勝負づけが済んでいる訳でない上位の3頭。これからどんな道を歩むのかだが、良きライバル達ではあるまいか。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。