「日本が大好き!また来日できて嬉しいです」と話す大の親日家、フィリップ・ミナリク騎手が今年も日本にやってきた。熱心なファンサービス、旧友とのエピソードなど、その心優しさにファンから熱狂的な支持を集める名手が、今年は来日した家族を連れて再び競馬ラボの独占インタビューに登場。日本での騎乗馬から、家族、将来まで語りつくす。

昨年のミナリク騎手ロングインタビューはコチラ!

「一番走る」と絶賛の3歳馬は?

-:前回のインタビューでも色々聞いていますので、今日はご家族もいることですから、前半は競馬の話を、そして後半はご家族も交えて聞いていこうと思います。なお今回はファンの皆様から募集した質問、メッセージもありますので、答えていただけるとありがたいです。

F.ミナリク騎手:OK!ヨロシクオネガイシマス。

-:今年は日本で8勝(2月18日時点)を挙げられていますが、この結果に満足しているのかどうか、教えてください。

ミ:いいペースだと思います。1週間に1度のペースで勝ててはいますからね。今回は京都競馬場や中京競馬場にも参戦しました。そして東京競馬場のG1デーにも参戦しましたが、同じ競馬場にリーディングジョッキーが集まると勝ち鞍を得るのはなかなか難しい部分がありますからね。でも1勝でも多く積み重ねたいという気持ちに変わりはありませんよ。

-:今回の来日で印象に残った馬はいますか?

ミ:そうだね、まずは萩原厩舎のアンダープロミス(牡3、美浦・萩原厩舎)。そして堀厩舎のヒシイグアス(牡3、美浦・堀厩舎)。まだ3歳、どこまで伸びるか楽しみですよ。夢を持てる馬です。

ミナリク騎手

▲自身今年初勝利となったアンダープロミス

-:まず名前を挙げていただいたアンダープロミスですが、こちらは短期免許取得2日目の1月6日、中山競馬場で行われた3歳新馬戦(ダート1800m)で1着でした。

ミ:彼は期待できる馬です。いい勝ち方をしてくれました。ちょうど今週、彼を管理する萩原調教師とも話しましたが、ローテーションがうまくいけば中山でもう一度騎乗できるかもしれないので、楽しみです。この日は4歳上1000万(ダート1800m)をサイドチェンジで勝つことができましたが、彼もまた順調に行けば3月2日中山の上総S(ダート1800m)でまた乗れそうなので楽しみです。

-:もう1頭名前を挙げていただいたヒシイグアスですが、こちらは1月19日の若竹賞(芝1800m)で見事な逃げ切り勝ちでした。素質のありそうな3歳馬ですね。

ミ:今年乗った3歳馬で一番走る馬だと思います。次はルメール騎手が騎乗すると思いますが、どこまで上のステージに行けるか楽しみな馬ですよ。いい馬でしたね。

-:若竹賞は逃げ切っての勝利でしたが、逃げなくても大丈夫なのでしょうか。

ミ:新馬戦で控えて競馬して、教育されたのが活きていますね。先頭で走ることに問題はありませんし、礼儀正しくプロフェッショナルな馬ですから、スムーズなら控えて競馬しても大丈夫だと思います。

ミナリク騎手

▲若竹賞を逃げ切ったヒシイグアス

-:3歳馬と言えばミライオー(牡3、美浦・加藤征厩舎)で東京芝2400mの3歳未勝利戦を勝たれています。

ミ:彼はスタミナのある馬ですよ。まだ経験は少ないですが、それでも後ろから差してきてくれましたし、能力は間違いなくあると思います。

-:古馬では、今年4勝目となった1月14日中山、4歳上500万(ダート1200m)をノーザンクリス(牡4、美浦・加藤征厩舎)で勝たれています。こちらは昨年騎乗されて2着だった馬ですね。

ミ:昨年騎乗した時はダート1800mでしたね。ノヴェリスト産駒ですから、正直言いますとダート1200mでどうかという思いがありました。調教にも騎乗し厩舎とも相談した結果ダート1200mを使いましたが、勝つことができて非常に良かったです。ノヴェリストはドイツを中心に走った名馬ですが、実は僕にとってノヴェリスト産駒で挙げた初めての勝利だったんですよ。それもあって嬉しかったですね。

-:昨年乗った馬たちのことをよく覚えていらっしゃいますね?

ミ:ドイツにいる間も日本の競馬をずっとチェックしていました。自分が今までに騎乗した馬たちが、その後どのクラスでどんな勝ち方をしたのか、どんなレースをしたのか、全て見ていましたよ。僕は趣味が競馬ですから、レースチェックが好きなんですよ(笑)。今年3勝目となった4歳上500万(ダート1800m)のプリエンプト(牝5、美浦・斎藤誠厩舎)も昨年2度騎乗して5、4着でしたが、癖は掴んでいましたし、そんな馬で勝つことができて嬉しいです。

初重賞制覇のチャンスは十分!

-:そして昨年サウンドトゥルーに騎乗して挑んだG1・フェブラリーS、今年はノボバカラ(牡7、栗東・森厩舎)で挑戦されました。

ミ:その前走、根岸Sも騎乗させていただきましたが、この馬にとって東京のマイルでG1馬相手となると、少々厳しい戦いでしたね。距離的には1400mが一番いいです。あとは相手次第です。1200m~1400mでまた乗りたいですね。

-:中山記念当日はご家族が応援にくるとのことですが、ハッピーグリン(牡4、北海道・田中淳厩舎)に騎乗されますね。(※2月20日インタビュー)

ミ:去年の中山記念は乗り馬がいなくて、検量室で見ていたんです。今年は乗れるだけで嬉しいですし。ハッピーグリンのジャパンCはビデオで見ています。ジャパンCで強い馬相手にやれていましたし、楽しみです。(道中後方でレースを進め直線脚を伸ばすも8着)

ミナリク騎手

▲果敢に末脚を伸ばしたハッピーグリン

-:ちなみにこれまでに日本で騎乗した馬の中で、ドイツに連れて帰りたくなった馬はいらっしゃいますか?

ミ:ネロ!(笑)ドイツに連れて帰りたいです。ドイツは短距離馬がそこまで強くないですし、ドイツに来たら大活躍できたと思います。引退が残念でした。ドイツは短距離向きの血統がないので、日本の短距離馬が行けば勝てると思います。

-:自分が乗っていない現役馬で、乗ってみたい馬はいらっしゃいますか?

ミ:アーモンドアイ(牝4、美浦・国枝厩舎)!精神的にも身体的にも成長しています。若い頃は掛かったり気性面に不安があるように見えました。クリストフ(・ルメール騎手)が乗っているからこそ乗りやすく見えるのだと思います。そんなに乗りやすい馬ではない気がしますね。それが使って良くなっています。ジャパンCまで順調に成長できたことは喜ばしいことです。

-:以前のインタビューでドイツダービーを勝ちたいとおっしゃっていました。日本で勝ちたいG1はありますか?

ミ:今のところはまず重賞を勝ちたいというのが目標ですが、G1で一つ絞るならジャパンCですね。3度参加させてもらっていますが、ジャパンCはやはり憧れのレースでもあるので勝ちたいですね。

-:好きなコース、条件はありますか?

ミ:そりゃあ成績的に中山ダートだよ(笑)。本当のことを言うと東京の芝2400m。ダービーやジャパンCの条件ですからね。ミライオーでこの条件を勝てて嬉しかったですよ。

-:逆に難しいと感じた条件はありますか?

ミ:特に去年対応に時間が掛かったのは中山の芝コース。ダートより対応に時間が掛かりましたね。外回りの中山は前に行ってレースをコントロールしようとしても、早い段階で色々プレッシャーが掛かるんです。外からプレッシャーが掛かったり、ペースの流れだったり、トリッキーなコースですね。だいぶ慣れましたが、難しいコースです。

-:今年はダートで特にいい成績を残されていますが、秘訣はあるのでしょうか。

ミ:正直言えば、来日する前は長距離の芝のほうが自信はありました。ドイツにもダートコースはあるので乗ったことがないわけではありませんが、普段は芝の長距離コースのほうがレースの数が圧倒的に多いので、ここまで上手に乗れるとはボク自身ビックリしています。ダートの成績が悪くないことは気づいていますが、理由は分かりません(笑)。

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