初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『スタリオンレビューにいってきました?その1』
2016/2/12(金)
皆さんこんにちは、ライター大和屋です。今回は友人がエピファネイアのお披露目会に是非行きたいとのことなので、またも社台スタリオンステーションに行ってまいりました。というわけで旧正月と雪まつりがかちあい観光客、中国人殺到の北海道へ突入です。
せっかくなんで美味しいものも食べましょうとスタリオンレビュー前日に北海道入り、まず驚かされたのは千歳空港の人の多さ、さらにはその人達が皆電車に乗るので異常なまでの混雑です。それでも宿はとってますので札幌へと行かねばなりません。その宿もやはり雪まつり開催中とあって強気な値段設定です。いつもあのくらいで泊まれる部屋もこの二週間は驚くような値段です。やっぱハイシーズンの観光地には近づいてはいけないのかもしれません。
とはいえ来てしまったもんは仕方ありません。せっかくなんで楽しみましょう。まずはご多分に漏れずに観光します。特に興味があったわけではありませんが、せっかくなんで雪まつり、雪まつりにそれほど執着はありませんがとりあえず雪まつり、せっかくなんで見て来ました。去年もせっかくなんで見ていたのでアレなんですが、とりあえず写真のっけときますね。
寒い思いをして観光をした後は食事です。とはいえこの時期の北海道にしてはかなり暖かかったそうですが……。友人が予約してくれた居酒屋、『海味はちきょう別邸おふくろ』へと突入です。このお店前々から行ってみたいと思っていたので念願かなっての初来店です。何がすごいかというと、言うまでもなくここの名物つっこめし、平たく言うとイクラ丼です。とはいえ最初から〆てしまっては終わってしまうので他のものも食べました。ほっけにジャガバタ、刺身にたちぽん。
さんざん食べ散らかした挙句、本日のメインイベントつっこめしに突入です。威勢の良い掛け声とともに店員さんたちが集結します。出て来たのは白米。そしてボールにたっぷり入ったいくらが登場。ルール説明がなされます。掛け声とともにご飯の上にイクラがのせられていきますが、ここでいいというところでストップをかけろとのこと。とはいえストップなんてかけるつもりはなからありません。こぼれるくらいにのっけてもらった結果がこちら。
言うまでもないことですが一粒のこらず美味しくいただきました。そして食欲旺盛な我らはおっさん一行はさらに食べます。ここの居酒屋の隠れた名物『塩ソフト』あっさりしていて、それでいてしっかりとした味が口の中に広がります。毎回思いますが北海道に行くと太りますなぁ。
散々飲んで散々食べて一日目は終了。明日に備えて眠ります。次の日は誰一人寝坊することなく朝10時に集合、車にて千歳へ向かいます。展示の開始は11時半、充分間に合う時間です。のはずだったのですが……
まさかの高速が事故のため通行止め。車は前に進みません。それでも他に道はないのでじわじわ進んでいきましたが、時間は刻一刻と過ぎていきます。高速を降りて普通の道を急ぎますが、やはり高速とは違いスピードは出せません。そんなこんなで11時……11時半となりました。
なんとか間に合え俺達、これじゃあ何の為に北海道へ来たのかわからないという結果になってしまうんじゃあなかろうか?ようやく通行止め区域を超えたので高速へ再び乗ります。現地の友人にラインをして実況中継をしてもらい状況を確認、エピファネイアは二番目にお披露目されたそうです。やっちまった!冗談じゃなく何しに来たんだ俺達状態。せめてジャス君のお披露目には間に合おう!と頑張ってみたもののスタリオン直前でジャス君出番終了のラインが届きました。
残念……ではありますが、せっかくここまで来たのですから顔を出さない訳にはいきません。関係各所の皆さんにご挨拶。それが終わると出番を終えたジャス君に会いに行きます。厩舎の場所は知っているのでずんずん進んでいくと、あ、どこかで見たことのある人が……。あれ、確かあの人は……そうです。ディープインパクトのガードマンのおじさんです。
知らない人もいるかと思うので解説しておくとディープインパクトは飛びぬけて価値が高い種牡馬なのでディープさんに万が一がないようにガードマンのお方が常に張り付いているのです。どこへ行くにもガードマンの方はディープについていくのです。それほどまでに価値が高いということですが、何故ここにガードマンの方がいらっしゃるのだろうと思って見まわすと、いらっしゃいましたディープインパクト。
社台スタリオンパレードでのディープインパクト
ジャスタウェイとお隣さんのエピファネイア
前は違う馬房にいたと思うのですが、ジャス君の向かいの馬房にたたずんでおいでです。更に驚いたことにジャス君の隣の馬房には友人達のお目当てのエピファネイア君もいるではありませんか!ていうかとなりの馬房だったんですね。後で会わせてもらおうと思っていたので手間がはぶけました。ていうか隣同士なんですね。一昨年のジャパンカップの一、二着が……。というわけで友人一行も大興奮。「決して不審者ではありません」とガードマンの方に「ジャス君の馬主です。決して怪しいものではありません」と自己紹介をしてジャス君とご対面です。
「ジャス君ジャス君こんにちは」と声をかけると顔をこちらに向けてくれます。更に今回は「来たのー?」的な顔をして寄ってきてくれました。出だしは順調今回こそは楽しく良好なご対面にするべく頑張ります。久しぶりのご対面。でも、まあ反応し寄ってきてくれるということはなんとなく僕の顔を覚えていてくれているのかと思いたい。いつものように鼻づらを撫でるとクビをふんふん縦に動かします。コミニュケーション成功です。順調なことに気をよくした僕は首筋を撫でようとします。
が、やはりここでいつものご挨拶がやってきました。
ガブリ。
はい、やられてしまいました。上着の袖を噛まれてしまいました。やはり噛まれたか……。いつものことですが、ちょいとショックです。が、考えようによってはジャス君にとってのコミュニケーションのような気もしてきたのでよしとしましょう。更に嬉しいサプライズが!ガードマンの方がニンジンをくれました!どうぞあげてくださいとのこと!嬉しいぞ!今までジャス君にニンジンをげたことは一度もありません!草をあげたことはあったけど!本当にありがとうございます!馬主でよかった!
さっそくあげるとナイス食いつき、バリボリ食べます。いい食べっぷりにほれぼれです。更には二本目三本目。ばりぼりばりぼり食べ続けます。なんというか本日はスタリオンレビューは見る事ができませんでしたがジャス君と充実した時間を過ごせたと思います。ああ、楽しかった。
ジャス君との記念撮影もさせてもらって本日は終了です。武豊騎手も同じく札幌宿泊だったみたいで遅れて駆けつけてきた模様。最後のしめのご挨拶をしておりました。
というわけで今回もドタバタ珍道中。まだ終わりません。次回は競馬とまったく関係ありませんが後編へと続きます。ではごきげんよう。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。