怪我を乗り越えたヴァンセンヌ 6歳にして迎えた本格化の気配

●2月8日(日) 1回東京4日目11R 第65回 東京新聞杯(G3)(芝1600m)

屈腱炎から復帰したのは昨年の10月。復帰初戦こそ2着だったが、そこから3連勝で、一気にオープン入りを果たしたヴァンセンヌ(牡6、栗東・松永幹厩舎)。実に2年9ヶ月ぶりの重賞挑戦となったが、見事に3歳時以来の重賞挑戦を勝利で飾った。

将来を期待された超良血馬だったが、3歳時に骨折、翌年には右前の屈腱炎とケガに泣かされ続けた。それでもスタッフの懸命の努力で再び重賞を走れるまでに復調。福永祐一騎手も「立ち直らせてここまで走れるようにしたのは、厩舎スタッフや牧場スタッフの力」と口にする。そして迎えた今回のレース。ゲートが開き、激戦は幕を開けた。

「スタートが上手に切れたので、良い位置を取って流れに乗れれば」との言葉通り、道中は中団の内ラチ沿いで進める絶好のポジションを確保。しっかりと脚を溜めるかたちで勝負の直線を迎える。ポカッと空いたスペースを見逃さず、すぐさま持ち出すと一気に先頭へ。悲願の初タイトルまで残りは1ハロン。長い200mとなったが「よく凌いでくれました」とアルフレードの追撃をクビ差制した。

この日の天気も大きなアシストとなった。ここ2走は高いパフォーマンスを見せていたが、いずれも渋った馬場状態でのもの。「緩い馬場は合う」と鞍上も予報より早くから降り始めた雨を歓迎。運も味方に付けたヴァンセンヌの勝利は必然だったのかもしれない。

ここまで使ってきたレースはわずかに11。「まだ課題はありますが、将来が楽しみです」と伸びしろは十分に残されている。今年の古馬マイル戦線は群雄割拠の様相を呈している。それを一刀両断できる素質馬が6歳にして、いよいよ本格化を迎えている。

ヴァンセンヌ

ヴァンセンヌ