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レイデオロ優勝 藤沢和師とともに初ダービー制覇!【平林雅芳の目】
2017/5/30(火)
17年5/28(日)2回東京12日目10R 第84回ダービー(G1)(芝2400m)
- レイデオロ
- (牡3、美浦・藤沢厩舎)
- 父:キングカメハメハ
- 母:ラドラーダ
- 母父:シンボリクリスエス
先週とまったく同じコンビで、ダービーをも制覇した。ルメール騎乗のレイデオロが、向こう正面でマイスタイルが造った超スローペースにも早めに進出する2番手での流れをキープ。馬場の真ん中まで出して来た直線でも脚色は衰えずに、スワーヴリチャードの猛追を堪えてのダービー初制覇。今、最も光輝いているのがこの二人。今年の牡、牝馬の頂点に立った!
パドックを早い時間に行けないと、もう前の方では見れない。パドックへの出入り口のところから、人の背中越しに垣間見るだけ。 何とか全ての馬を1,2周見られた。注目していたレイデオロが、所定の順番にいない。そしてやや入れ込み加減のレイデオロを見てしまった。逆にアドミラブルは堂々として、巨体を静かに移動させていた。ダンビュライトも毛艶とも悪くない。 早々に切り上げて返し馬を見ることとする。一番先に入って来たのがダイワギャグニーで、次いでレイデオロも続いて出て来た。すぐに4コーナーの方へとキャンターで進んでいく。レイデオロはあれからパドックでも2人引きとなった模様だが、馬場入りして走って行くうちに落ち着きも少しは出た感じである。それでも3コーナー過ぎまで、2頭は進んで行っていた。
そしていつもどおりに、内馬場の出入り口から16頭が出て来た。ダンビュライトも今日はうるさい面を見せていない。ほとんどの馬が、すぐ馬場入りして4コーナーへと向かってキャンターで行く。 ゴール板の方へ歩いて来た馬をチェック。マイスタイル、スワーヴリチャード、トラスト、アルアイン、ジョーストリクトリ、ウインブライトがユックリと歩いてから逆向きになって、キャンターで去っていく。一番最後までキョウヘイが二人引きで手綱を持って皆がいなくなるのを待っていた。スワーヴリチャードが落ち着き払って走って行く様を、《こう言う馬でないと走れないよね~》と、傍で見ていた東京HRの友人と話していた。
ゴスペル歌手が《君が代》を高らかに歌う。ますますダービームードが漂ってくる。 そして3時42分、第84回のダービーのゲートが開き、各馬、出遅れもなくスタートを切った。ダンビュライトが好発。もしかして先手を取るのかと思ったが、マイスタイルがすっと出て行った。大外アドミラブルも遅れずに出たが結局、最初のカーブに入る時には後ろの、それもドンジリで廻った。少し前にレイデオロがいた。横山典Jがそれこそ、ジト~とした逃げを展開。かなりなスローペースだとスタンドからでも判るほどだ。 向こう正面で動いたのがルメールだけ。スルスルっと2番手に上がる。同じ動きをアドミラブルのミルコもするのかと見ていたが、少し順位を上げただけとする。内々でダンビュライトがいい手応えで待っている。誰しもがいい手応えでいるのは気が付かなかったが…。
後で調べると、道中で13.3のラップを刻んでいたマイスタイルの逃げ。過去のダービーでこれほど遅いラップを刻んだのは見たことがない。 誰も動かずで4コーナーまで来た。スワーヴリチャードがダンビュライトのすぐ後ろにいたのが、レイデオロのすぐ後ろまで出てきて最後のカーブに入る。内を選ぶマイスタイル。それに反して、レイデオロは馬場の真ん中あたりに出して来た。その外へスワーヴリチャード。後ろから凄い脚を使って上がってくる馬は見えない。むしろ内目のマイスタイルが粘りに粘っているのが判る。だが先頭をレイデオロに替わって、そのまま真っすぐにゴールへと向かう。そこへスワーヴリチャードが伸びて行くが、一旦並ぶところまで行ったか否か。最後は同じ脚色でゴールへと向かう。マイスタイルが粘ったかと思ったところを、やっと伸びてきたアドミラブルが猛追して、内外離れての3着争い。そしてアルアイン、ダンビュライトにペルシアンナイトらが、馬体を接して続いた。サトノアーサーやカデナなどは伸びを欠いた様だ。
検量室廻りは、いつもどおりに勝者は喜び、敗者は言葉が少ない。大きなPV画面を、背中をこちらに向けて見入る関係者。そこをニコニコ顔のルメールが入ってきて握手攻めだ。私も先週同様に握手をさせて貰った。武豊Jは馬の上から、『ド、スロー・・』とひと言だけあった。
表彰式などが終わって引き上げてきた後で、藤澤和師とも握手をさせて貰った。そばに幸四郎師がいたので、厩舎の研修に行きだしてからふたつも勝ったぞと冷やかしてやると彼は、『今朝の稽古に乗ったで~』とポツリと言う。《エエッ?、東京競馬場でかい?》と聞くと、そうだと言う。そこへ藤澤和師が来たので《先生、日曜の朝に乗ったんですか?》と尋ねる。『エエ~、そうすることでカイバを食べるんですよ。ウチは良くやるんですよ~』と教えてくれた。そう言うことが新聞紙上にでも出てきたら、もっとレイデオロ人気が沸いただろうにと思うのは素人考えか。アドミラブルは確かにいいものを持っているが3.4倍、1番人気はちと売れすぎ。レイデオロがもっともっと売れても良かったはずだと…。
そして横山典Jとも少し話せた。マイスタイルの逃げは予測していたが、あれほど遅くできたのは凄い。ルメールだけがあの位置に来ていたが、あれが違う馬ならマイスタイルの勝ちもあったかも知れぬと言っておいた。彼独特の言葉で、『あれでダービーを勝ててはいけないよね・・』と。スローペースに落として勝つのは、ダービーではあり得ないと言うこと。でもいいレースをした感はたっぷりだった。
パドックでレイデオロを目の当りに見るのは始めて。厩舎サイドはそこもちゃんとケアしてあり早めの馬場入り、キャンターで落ち着かせて、道中でもあれほど早めに動いても折り合える良さ。皐月賞はアクシデント明けで良く脚を使っての5着と、やはりただ者でないのを見知った。 検量室内で、ルメールJが四位Jとの会話の中で自分を差して、『5着、6着ね~』と皐月賞からの変わり身を言っていた。 左廻りで真価発揮のスワーヴリチャード。返し馬から落ち着きを感じた。サトノアーサーはいつもの切れを見せなかった。やはりレースが開いているのが影響したのか。
そうそう、PVを見ていて感じたことがあった。ペルシアンナイトが、ゲートを出てすぐに舌を縛っていた紐が解けてしまったが、その紐が口の周りをプラプラと纏わりついていた。だからどうなのかは知る由もないが、あれがなかったらと思ってしまう素人眼。競馬は常にそれである。ミルコがあそこで一緒に動いていたらとか、そうやって考えるのが楽しいものである。でも昨年の2歳時に藤澤和厩舎は揃っているな~と感じたまま、この初夏に最高峰に輝いた事実。あの時からこの結果は見えていたのでありましょう…か。 さぁ、すぐ来年のダービー馬を探す旅が始まります!ではないよ』だ。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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