一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アルテミスSはヘリンヌリングに騎乗
2018/10/25(木)
2週間の騎乗停止、先週金曜日からアメリカに行っていたこともあり、感覚的に久しぶりの更新に思えます。渡米したメインの目的は、岡田繁幸さんを初めとするビッグレッドFのスタッフさん達とファシグティプトンという1歳馬のセリに同席させていただくため。僕が観たのは4日間続く中の2日間でしたが、それでも頭数は740頭。全ての馬に目を通し、そこで社長が買ったのは僅か4頭ですから、その見極めと集中力は本当に凄いと思いました。それを年に何回もこなしているわけですからね。いい息抜きをさせていただいたので、時差ボケを克服して万全の体調で競馬に臨みます。
この土曜は東京で10鞍に騎乗します。アルテミスSのへリンヌリングは1週前の追い切りに乗せていただきましたが、一生懸命になりすぎる面があります。前走で大きく負けてしまったのはそのあたりが影響したのかもしれません。重賞でペースが速くなるのをプラスに捉え、折り合い面に気をつけて馬のリズムを大事に挑みたいと思います。1Rのダンクフェストは3戦目で初ダート。血統的にもここで違った一面を見せてほしい。2Rのアルママは美浦に入厩してから、僕が渡米するまでは付きっ切りで乗せていただきました。3ヶ月空いた分で体が少し増えて日々成長を感じます。動きも凄くいいですよ。まだまだこれからの馬ではありますが、本当に期待が大きいので、今回は能力で突破しなければという気持ち。内容にも拘って勝ちたい一戦です。
3Rのマイネルペルマナンはコントロールが難しい面があるので、ハミを換えるなど工夫してもらっています。2戦を経て、競馬を覚えてくれていれば変わってきそう。7Rのラヴタクティクスは前走のようにモマれない競馬がやはり理想。枠順も鍵を握りそうですが、気持ち良く走らせてあげられれば改めて勝ち負けです。8Rのラントシャフトはかつての感触を思えば、ここのところの成績が案外。もう少し走れるはずの馬なので、アプローチを考えてキッカケを掴んであげたい。12Rのマイネルレンカはヨーイドンの展開になると分が悪くなってしまいます。自在性が出てきたので、気分良くスムーズに走らせて自分の形に持ち込みたい。
日曜も東京で9鞍に騎乗します。2Rのコスモハヤテは掴みきれない部分があるものの、前走はしっかりと最後に脚を使ってくれました。レース毎に集中力は増しており、今回も気を抜かせない競馬を心掛けます。3Rのアリスブルーは、5着だった初戦が想像を上回る好内容。当然2戦目の上積みがあるはずなので、改めて前進を期待しています。7Rのマイティーワークスは展開に左右されてしまうものの、前走は先行馬ペースを一頭だけ追い込んでの好内容。夏から堅実に走ってくれているので、何とか勝たせてあげられるように頑張りたい。
8Rのフロムマイハートは前走着用したチークピーシズからブリンカーに換えていただきます。調教ではいいほうに向いていると聞いており、少頭数と相まって前進させてあげたい。10Rのウインフェニックスは前走のように時計がかかる展開がマッチします。土曜に雨予報もあるので、少し柔らかい馬場が残ってくれませんか。また、良馬場であればなるべく瞬発力勝負にならない流れに持ち込みたい。12Rのコスモロブロイの前走は時計も悪くありませんし、休み明けで昇級戦を思えば好内容。集中力を途切れさせないように走らせてあげられれば前進が見込めます。この2週間は色々とあっても競馬に乗りたくて仕方ありませんでした。そんな気持ちをぶつけて、是非とも成績に繋げたいと思っています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。